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【図3】数値流体力学を用いた気導性嗅覚障害の分析

2022/01/23

この論文の主旨は図3です。

それぞれ左側の列、中央の列、右側の列の3種類に人間の嗅覚動態を分類しています。
左列は嗅覚正常な人、中央列はCODで鼻呼吸単独の人、左列はCODで口呼吸併用の人です。
上段は実際の人間からデータを取り鼻呼吸のみと仮定して計算したシミュレーションで、赤が右の嗅裂、紫が左の嗅裂を示しています。
上段AとCの嗅裂は一般的なスリット型形状をしていますが、Bの嗅裂は前方だけ開存しており異常形状といえます。
中段DEFも鼻呼吸のみと仮定して計算した鼻腔抵抗を示しており、Fの62.08Paというのは異常に大きな値で「実際には実現しないあくまでシミュレーション上での仮想値」というとこになります。
となるとFが非現実的だということは、人間は呼吸しないと生きていけないので模式図Iのように口呼吸も併用しているはず、という結論に帰着します。
ここで誤解してはならないのは「口呼吸する人が必ずしも嗅覚障害になるわけではない」ということです。
すなわち右列の解釈は「口併用呼吸で気導性嗅覚障害ある人は、嗅裂の形が正常でもそれまでの流路に比較的大きな障害物(Obstacle)が存在する人」ということです。
中央の列の解釈は「鼻呼吸のみで気導性嗅覚障害ある人は、嗅裂の形に何らかの異常がある」ということです。

以上小難しい説明になってしまいましたが、実は理屈は非常に簡単であってどれも自明の理であることばかりです。
しかし自明の理であっても科学的に証明するのが逆に難しいこともあります。