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【概要】数値流体力学を用いた気導性嗅覚障害の分析

2022/01/17

【概要】
気導性嗅覚障害(
Conductive olfactory dysfunction;COD)は、鼻腔が何らかの閉塞することで起こり、嗅覚が一時的に悪くなったり戻ったり変化することが特徴の疾患です。 CODは、嗅裂が解剖学的に正常な場合でも発生する可能性があるため、原因は不明なままでした。
私達は、数値計算流体力学を使用して、COD患者のコンビームCTスキャンデータを利用した後ろ向きコホート研究で嗅裂の気流の状態を調べました。〔健康な人95人の鼻腔を調査した予備実験で〕鼻前庭~鼻腔咽頭間の最大流量時の圧力差を測定することにより鼻単独呼吸と口併用呼吸を区別するカットオフ値を定め、〔本実験の〕COD患者データに適用しました。
〔予備実験では〕鼻抵抗の増加は口併用呼吸につながること、〔本実験では〕最大流量での嗅覚裂の速度と流量は、嗅覚正常で鼻単独呼吸の健常者と比較して、鼻単独呼吸のCOD患者では有意に減少していることがわかりました。さらに、中鼻甲介蜂巣に関連する一般的な形態異常の詳細な分析も行いました。私達の研究は、CODの原因に関する新たな洞察を提供します。私達の〔予備実験および本実験の〕研究成果は、CODの外科的治療計画、睡眠時無呼吸の研究、子供のアデノイド増殖症の評価、およびスポーツ呼吸生理学の今後に重要な意味を持つと思われます。

「Analysis of conductive olfactory dysfunction using computational fluid dynamics」
PMID: 35020767

著者注:〔斜字〕は補足です。当研究は2つの実験、予備実験と本実験から構成されています。時系列的には本実験を後ろ向き研究としてまずおこなっていて、その後そのカオスなデータを整理する目的のために予備実験を横断的研究としておこなっています。