においとタバコ_最新知見より
2017/07/05

においとタバコ
嗅覚障害を引き起こす要因のひとつに「副鼻腔炎(蓄膿症)」があげられます。
この副鼻腔炎は比較的メジャーな病気ですが、なんと嗅覚障害をきたす患者の約4-5割を占める疾患であると言われています。
そして喫煙行為、これはもちろん病気ではないですが、両方が組み合わさると一体どのような事が起こってしまうのでしょうか?
副鼻腔炎に伴う嗅覚障害は鼻茸・嗅裂部付近の粘膜腫脹による気流障害が生じ、におい分子が嗅上皮まで到達しないために起こる呼吸性嗅覚障害です。
今年3月、この副鼻腔炎患者でかつ喫煙者は、生産的な生活が送れないという研究報告がなされました。(PMID:28295361)
3か月間仕事や学校をどのくらい休んでしまったかの統計をとったところ、喫煙者は平均値の倍の日数欠勤または欠席していることがわかりました。原因は副鼻腔炎によって引き起こされた鼻粘膜上皮の炎症をたばこの有害物質によって刺激してしまうことかもしれません。
さらに、喫煙中、禁煙中関わらず喫煙歴がある場合は生産性が落ちる傾向にあるようでした。ただし、禁煙者よりも現喫煙者のほうが大幅に生産性への影響が大幅に大きいことも分かっています。
この報告は慢性副鼻腔炎患者を対象にしているものですが、たばこをやめなかったために症状が急性から慢性へ転換してしまったことも示唆されます。
ぜひ、副鼻腔炎に悩まれ、喫煙をしている方は今日からでもたばこをやめてみてはいかがでしょうか。
近年、禁煙を推奨するの世の中ですが、においの観点から考えてもたばこはやはり「百害あって一利なし」のようですね。