においと睡眠_最新知見より
2017/08/20
においと睡眠
鼻の副鼻腔という空洞部分に炎症が起こる「副鼻腔炎」が慢性化した病気のことを「慢性副鼻腔炎(蓄膿症)」といいます。
年齢問わず発症し、骨格や、アレルギー性副鼻腔炎が長引いてしまうこと、炎症により粘膜が厚くなることなどが発症に関連しているといわれます。
先日のコラムでは、この「副鼻腔炎(蓄膿症)」がたばこを吸っていると悪化しやすいという報告をご紹介しました。
今年6月に報告されたその研究は、難治性の慢性副鼻腔炎の患者さん198人を対象にSNOT-22という22項目のアンケート調査を施行したものです。(PMID: 28600803)
そのアンケートの項目は、例えば鼻をかむ程度、イビキの程度、鼻水の程度、夜間覚醒の程度、日中の疲れの程度、味覚嗅覚の程度とかかなり多岐にわたるものです。
そのアンケート調査結果を解析した結果、生産性の低下は心の不調および睡眠障害の2領域のスコア低下と強く相関することが分かりました。
当院でも睡眠障害がある場合に副鼻腔炎(蓄膿症)が発症する割合が多いことが経験的に明らかです。
まして副鼻腔炎が悪化すれば、嗅覚が減退するのは間違いありません。
においと睡眠の関係の間には、副鼻腔炎と睡眠障害という重要な疾患が介在していることを忘れてはなりません。
よい睡眠は記憶を定着させたり、心身の疲労回復をもたらします。また、免疫機能を強化するといった役割ももっています。
健やかな睡眠を保つことは、活力ある日常生活につながっているのですね。