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においの人種差(嗅覚の人種差)_最新知見より

2017/12/10

耳鼻咽喉科外来を受診する嗅覚障害患者の約半数が副鼻腔炎が原因だと言われています。次いで風邪を引いた後ににおいを感じなくなる人が約2割、頭部の外傷による人が1割、原因不明も2割ほどいます。

 

このように、嗅覚障害の原因は様々であることが解りますが、201712月に米国のスタンフォード大学と豪州のシドニー大学の共同研究で、嗅覚障害に陥りやすい患者の背景についての報告がなされました。(PMID:29204574

報告によると、まず嗅覚障害患者は加齢と伴に有意に増加し、尿検査ではマグネシウム、 2-チオキソ-4-チアゾリジンカルボン酸, 2-アミノ-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸が低値を示すことが言われています。また、人種による違いでは、アジア人が比較的嗅覚障害になりづらい人種であることも統計的に解明されました。性別の違いでは、男性よりも女性の方が臭いを同定しやすい、つまり臭いに対して敏感であることが示唆されています。さらには、喫煙者は非喫煙者と比較して嗅覚障害になる可能性が高いとも報告されています。

一方で、嗅覚障害のひとつである無嗅覚症と嗅覚鈍麻患者は血清中の鉛、尿中の2,4ジクロロフェノール濃度が上昇していることも明らかとなりました。

 

もちろん、根本的な原因をすべて解明しているわけではありませんし、加齢、人種や性別の面では自分自身で予防したりすることが出来ない部分も多くあります。しかし、たばこをやめる、マグネシウムを多く含む食品を食べるように心がける、カルボン酸に関してはクエン酸回路における生成物であるため三大栄養素をバランスよく摂取するなど、自ら嗅覚障害を予防できる部分も多くあるのではないでしょうか。

 

嗅覚障害が発症するリスクを少しでも減らすために、まずは自分の環境、生活習慣を見直してみるといいのかもしれませんね。