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新型コロナウイルスと嗅覚障害の関係(第一報)

2020/04/08

新型コロナウイルスと嗅覚障害の関係(第一報)

 

いまだ新型コロナウイルスは世界的に猛威を振るっており、4日間以上の熱や咳のみ以外の症状として、世界各地の医師らは新型コロナウイルス感染症患者が突然に嗅覚を完全もしくは部分的に失う、という原因不明の症例を報告している。

嗅覚障害は今回のパンデミックに関係した「重大な症状」だと、米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会は22日に発表した。このような中で、3月27日 ハーバード大学医学大学院の研究者らは、一部の感染者が嗅覚や味覚を失った状況についての説明可能性を発表した。

 

筆者らによると新型コロナウイルスは鼻の主要細胞を攻撃する能力があり、そのため、“におう”ことが出来なくなってしまう。さらに、ヒトとマウスのゲノムデータの分析で、鼻の奥にある特定の細胞には、新型コロナが体内侵入で標的とする明確な形状のタンパク質(ACE2 and TMPRSS2)があることが判明した。これらの細胞の感染は直接的または間接的に嗅覚の変化につながる可能性がある。

 

ウイルス感染で正常な嗅覚機能に必要な鼻上皮の細胞が損傷する可能性もあるとの分析を明らかにしたことからも、筆者らは新型コロナ感染によって生じた鼻腔の炎症が嗅覚を妨げる可能性があると指摘している。。その上で、嗅覚喪失の原因究明が診断をサポートし疾患の影響を判断する上で重要な意味を持つとしている。さらに、患者の嗅覚障害が長引けば、栄養失調に加え、煙やガス、腐った食べ物など危険な臭いを感じることができないことに伴う損傷、鬱(うつ)病をはじめとする精神疾患につながるリスクを挙げた。

 

Non-neural expression of SARS-CoV-2 entry genes in the olfactory epithelium suggests mechanisms underlying anosmia in COVID-19 patients

 View ORCID ProfileDavid Brann,  View ORCID ProfileTatsuya Tsukahara,  View ORCID ProfileCaleb Weinreb, Darren W. Logan,  View ORCID ProfileSandeep Robert Datta

doi: https://doi.org/10.1101/2020.03.25.009084