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においは好き!?嫌い!?の二択_最新の知見より

2019/03/03

匂いを感じた時、ヒトは「快・不快」さらには「好き・嫌い」という情動的な反応(気持ち)を示します。匂いに対する情動的な反応は、遺伝的な要因によって先天的に決定されるケースもあれば、経験や学習によって後天的に調節・決定されるケースもあることが知られています。英国Wiley Online Libraryの科学誌Flavour and Fragrance Journalにおいて、九州大学での成果が発表されました。

 

この調査によると、従来行われていなかった先天的・後天的な情動反応が一致しない匂いに着目し、「良い香りだけど嫌い」もしくは「悪い臭いだけど好き」の知覚特性を調べました。
匂いに対する情動反応を評価する軸として、「快・不快」を直感的・本能的な情動反応、「好き・嫌い」を経験的・獲得的な情動反応を評価する軸として設定し、36種類の匂い物質に対して嗅覚認知実験を行いました。実験の結果、「快・不快」と「好き・嫌い」が一致した匂いでは、匂いの強度が強まるほど匂いの言語表現(フルーツの香り、アーモンド臭など)が一意に定まる傾向が見られました。その一方で、「快・不快」と「好き・嫌い」の評価が一致しない匂いでは、強度に関わらず匂いの言語表現が定まらない傾向が見られました。

つまり、「良い匂いでかつ好きな香り」、もしくは「臭くて嫌な臭い」という情報がないと、何の匂いかわからなくなってしまうのです。

匂いの感覚情報は、感情に関する偏桃体や記憶に関する海馬でも処理されていることがわかっていますが、その詳細な仕組みはまだわかっていないのが現状ですが、その先駆けとして非常に有益な成果ですね。

 

「The effect of different emotional states on olfactory perception: A preliminary study」
参照:九州大学岡本剛研究室

 

ということは、異性を口説くには相手の好みの匂いを見つけるとよいのかもしれませんね。